トロワ姫と愉快な仲間たち   《 投稿作品 vol.21 》
 
作品名 : トロワ人魚姫と王子様
   王子様 : ヒイロ 投稿者 : 聖 レイ さん



トロワ人魚姫は眠っているヒイロ王子の横に立ちつくしていた。
そう、ヒイロを殺せば元の人魚にもどることができる。だが…
そんな思いがトロワの頭の中で駆けめぐっていた。
トロワは静かに目を閉じると、決心したような、しかし悲しげな表情をし、立ち上がった。
(さよなら、ヒイロ…)
心の中でそう呟くと、トロワは外へ出た。
その時、人の気配に気づき目を覚ましたヒイロがトロワの側にやってきた。
「……何をしている。夜風は体に悪い。中に入っていろ」
「………………」
「……どうした?」
さすがに様子が変だと感じたヒイロはすぐに尋ねた。
だが、返答はなかった。
ヒイロは、ハッとしてトロワに問いかけた。
「……リリーナの事を気にしているのか?」
トロワは静かに頷いた。
リリーナというのは、ヒイロが浜辺で出会った女性である。
彼女とヒイロが結婚してしまえば、トロワは水の泡になるしかないのだ。
トロワの反応を見て、ヒイロは赤くなった。
そして、はずかしそうにトロワに告げた。
「……安心しろ。あいつとは結婚しない……」
驚くトロワを強く抱きしめ、ヒイロは優しくキスをした。
「オレが欲しいのはお前だけだ……」

「やれやれ、まいったね」
老いた人魚が海面から顔を出した。全てを見ていたらしい。
「トロワ、お前達の気持ちはよくわかった。お前のその美しい声を返してやる」
そう言って老女(?)は、小さなビンを投げてよこした。
「その中にはお前の声が入っている。じゃあ、二人共仲良くな」
それだけ言うと老女は消えたのだった。

トロワはもらった薬を飲んだ。
これでトロワは普通に話すことができるのだ。
「ヒイロ……。ありがとう」
トロワは穏やかに微笑むと、そっとお返しのキスをした。


*** END ***


■ 投稿者の方からのメッセージ ■

はぁ……。
自分で自分のに投稿しちゃいました(^_^;)
変ですね……。すみませんでした。



■ from 管理人 ■

『 夜風は体に悪いので、中に入っていろ 』 とトロワを気遣うヒイロが、とても素敵だと思いました
(^-^)

その後、赤くなりながらも 『 オレが欲しいのは、お前だけだ 』 と告げるヒイロは、更に素敵で可愛いと思います。トロワの前で、照れて赤くなるヒイロ。さぞかし微笑ましい光景なことでしょうね。
声を取り戻すことの出来たトロワがヒイロに見せた微笑みも、さぞかし麗しいものだったのでは?
(*^-^*)

二人には、末永く幸せに暮らして欲しいものですね。
ハッピーエンドで、私も嬉しいです(^-^)。


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