トロワ人魚姫は眠っているヒイロ王子の横に立ちつくしていた。
そう、ヒイロを殺せば元の人魚にもどることができる。だが…
そんな思いがトロワの頭の中で駆けめぐっていた。
トロワは静かに目を閉じると、決心したような、しかし悲しげな表情をし、立ち上がった。
(さよなら、ヒイロ…)
心の中でそう呟くと、トロワは外へ出た。
その時、人の気配に気づき目を覚ましたヒイロがトロワの側にやってきた。
「……何をしている。夜風は体に悪い。中に入っていろ」
「………………」
「……どうした?」
さすがに様子が変だと感じたヒイロはすぐに尋ねた。
だが、返答はなかった。
ヒイロは、ハッとしてトロワに問いかけた。
「……リリーナの事を気にしているのか?」
トロワは静かに頷いた。
リリーナというのは、ヒイロが浜辺で出会った女性である。
彼女とヒイロが結婚してしまえば、トロワは水の泡になるしかないのだ。
トロワの反応を見て、ヒイロは赤くなった。
そして、はずかしそうにトロワに告げた。
「……安心しろ。あいつとは結婚しない……」
驚くトロワを強く抱きしめ、ヒイロは優しくキスをした。
「オレが欲しいのはお前だけだ……」
「やれやれ、まいったね」
老いた人魚が海面から顔を出した。全てを見ていたらしい。
「トロワ、お前達の気持ちはよくわかった。お前のその美しい声を返してやる」
そう言って老女(?)は、小さなビンを投げてよこした。
「その中にはお前の声が入っている。じゃあ、二人共仲良くな」
それだけ言うと老女は消えたのだった。
トロワはもらった薬を飲んだ。
これでトロワは普通に話すことができるのだ。
「ヒイロ……。ありがとう」
トロワは穏やかに微笑むと、そっとお返しのキスをした。
*** END ***
■ 投稿者の方からのメッセージ ■
はぁ……。
自分で自分のに投稿しちゃいました(^_^;)
変ですね……。すみませんでした。
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