トロワ姫と愉快な仲間たち   《 投稿作品 vol.30 》
 
作品名 : トロワ"ジュリエット"姫と"ロミオ"王子様
 王子様 : デュオ 投稿者 : 鳥越やよい さん

 外から男の声が聞こえてくる。囁くような声がいっそう気になって眠れない。聞き覚えのある声だ、と思う。確かあれは仮面舞踏会の夜、数人の男たちと騒ぎつくして風のように去っていった若い男の声だ。まだ声は途絶えない。
 「覚えていてくれているだろうか、君の淑やかな姿に心奪われた哀れな死に神だ・・・」
 「デュオ、なのか?」
 バルコニーの手すりから身を乗り出すと月明かりに照らされた陽気な笑顔が見えた。
 「おう!相変わらず綺麗だな。」
 「・・・なにか用か?」
 「なんだよー。トロワは素直じゃないな。俺に会いたくて仕方なかったんだろ?」
 あきれていると外壁の蔦を器用にするするとデュオが登ってきた。
 「家宅侵入罪だ。」
 「いつの時代の話だよ。俺を追い出す気はないくせに。」
 デュオは手すりに腰掛けてじっとこちらを見ている。そうだ。声をあげればすぐにでも使用人たちがやってくるだろう。でもそんな気が起きない。
 「さて。夜は長いと言うが若い俺たちにとっては一瞬だ。トロワ、俺と一緒に夜に隠れて逃げ出そう。」
 「不可能だ。俺が誰だと思っている?そしてお前は自分が誰かということもわかっていないのか?」
 鼓動が高鳴る。怒りの為ではない。
 「俺は死に神。君は恋煩いで死にそうになっているお姫様。その魂を救ってやるのが俺の役目さ。」
 目の前で気取ってお辞儀してみせる。と、顔を上げて舌を出してみせた。力が抜けてゆく。
 「死にそうだ・・・。」
 「どうせ死ぬんだったらベッドの上で死んでくれ。」
 「・・・!!!」
 全身の血が頭に昇って倒れそうになっているとデュオにふいっと抱きかかえられた。後は風に任すしか俺はすべを知らなかった。


*** END ***


■ 投稿者の方からのメッセージ ■

千里さん、お久しぶりです。(^^)
トロワの一人称という表現を取ってしまいましたがよろしかったでしょうか??
また最後のほうにちょっとアダルティ☆な表現をいれてしまいましたが、皆さんが気づかないことを祈っております。



■ from 管理人 ■

お久しぶりです。アダルティな表現ですか…。私は、お子ちゃまなので気が付きませんでした(爆)。というような戯言は置いておくとして(^-^;) トロワの一人称で進められて行く作品も、素敵ですね。表現方法に付きましては、お好きな方法で、お好きなように表現していただければ、それで結構ですので、お気軽にご投稿ください(^-^)。

私は冒頭から、デュオの 「 君の淑やかな姿に心奪われた哀れな死に神だ・・・ 」 という台詞にウットリしてしまいました。素敵な台詞ですよね。それにデュオならば、こういう台詞も言ってくれそうですし。そして、そんな言葉を告げられたというのに 「 ・・・なにか用か? 」 なんて素っ気無い言葉を返してしまうトロワと、そんなトロワの対応にも、少しもめげていないデュオが、またまた、この二人らしくてウットリだと思いました(*^-^*)。やはりデュオには、ちょっとやそっとの事では、めげたりしないでいてもらいたいものです。トロワが相手ならば、尚更(笑)。

また、デュオが 「 俺は死に神。君は恋煩いで死にそうになっているお姫様。その魂を救ってやるのが俺の役目さ。 」 という台詞を口にしながら、気取ってお辞儀をしてみせたかと思うと、舌を出してしまうところなども、凄くお茶目で、デュオらしいなと思いました。ですが、そんな行動も結果的には、デュオがトロワを抱きかかえる事に成功した要因の一つになったのですから、一見お茶目に見えても、もしかしたら、とんでもなく緻密に計算された上での行動だったのかも…?(^-^)


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