フィリップ・カトル王子は魔女と死闘を繰り広げていた。
しかし、年老いた魔女はカトルの曲剣二刀流のすさまじい攻撃に押され気味であった。
魔女は考えた。
(魔法の力を使って、なんとかカトルに取り入ろう。まだ死にたくない。)
誰だって、所詮は自分が一番かわいいのだ。
「どうだ、カトル王子、私の魔法の力が欲しくはないか?」
「なにっ?!」
正々堂々戦っていたカトル王子は、魔女のお伽話らしからぬ言葉に驚いた。
「お前の欲しいものはなんでもお前のものにしてやろう。」
「………。」
無視して攻撃を続けるカトルに、魔女は次の作戦に出た。
「おぉ、あいたたたた……。こんなか弱い年寄りをこれ以上いたぶる気かい?」
魔女は何がなんでも死にたくなかったらしい。
「お願いだよ、あんたの強さはよーくわかった。助けておくれ。」
今まで激しく剣を振るっていたカトルに動きが急に止まった。
往生際の悪い魔女に王子はついにキレた。
その様子に魔女は少し戸惑っている。
「も、もしー?」
少し俯き加減だったカトルが何かブツブツ言いだした。
かと思うと、肩をふるわせて小さく笑い出した。
カトルのまとうオーラは、さっきとはがらりと色をかえ、重たい空気が流れる。
「んふふふふふふ…ふはははははっ!」
カトルは勢い良く顔を上げ、右手に持っている曲剣をゆっくりと自分の顔の前にかざす。
「怖いんだね?死ぬのが…。だったら……戦わなければ良いんだよっっ!!」
言うと同時にものすごい勢いで魔女に斬りかかるカトル。
カトルのことを良く知らなかった愚かな魔女は、声を上げる時間も与えられず息絶えた。
さて、勢いついたカトル王子はオーロラ・トロワ姫のいる塔の最上階まで一気に駆け登った。
バン!と大きな音をあげ、扉を開け放ち、肩で息をしながら部屋の中央にあるベッドまでたどり着いた。
ベッドはいかにもお姫様という感じのもので、薄いカーテンがかけられている。
カトル王子はカーテンをすばやく開けた。
するとどうでしょう、そこには目眩のするほど美しい姫君が横たわっていたのです!(笑)
「………。」
カトル王子は言葉を無くしてしまいました。
いや、さっきのブラックカトル状態からまだ抜け出していなかっただけかもしれないが……。
「綺麗だ……。」
カトル王子の瞳の色がだんだんと変わっていきました。
サファイアのような綺麗なブルーは少し影をおび、どこか、焦点を無くしたような色。
何かを決意したようなカトル王子は、ゆっくりとベッドに手をつき身を屈めた。
そして、トロワ姫の白く細い指先、かすかに上下している胸元、綺麗なラインを描く首筋にキスをした。
しかし、城の外で3人の魔女達に言われた、姫の唇への「目覚めのキス」はしなかった。
カトル王子はトロワ姫の唇に指で軽く触れ、その部屋をあとにした。
王子の顔は無表情であった。
数日後、カトル王子親衛隊、マグアナック隊が王子を心配して城にやってきたが王子は見つからず、戦闘のあとは見られるものの、城は静まり返ったままだった。
そして、塔にいるはずのトロワ姫の姿はどこにもなかった。
「カトル様、心配したんですよ!」
マグアナック隊がウィナー城に戻ると、王子はそこにいた。
どうやら、入れ違いだったらしい。
安心するマグアナック隊であったが、隊長のラシードただ一人はカトル王子の異変に気付いていた。
しかし、そんな状態のカトル王子を、影をおびたブルーの瞳を元に戻すことができるのは王子の母でもあった、亡き王妃カトリーヌだけであった。
「カトル様……。」
王子の機嫌がとても良いとき、ラシードは心の奥で冷たいものを感じる。
カトル王子がいつも首から下げている銀のカギ。
脳裏に城の地下室が映る。
「帰ってきてください、カトル様……。」
今はまだ、その祈りの届かない場所に………
「…トロワ、今日も綺麗だ……。」
*** Fin. ***
■ 投稿者の方からのメッセージ ■
千里さん、やってしまいました。(笑)シチュエーション考えた本人が書かなくてどうするってことで考えたんですが…。
ストーリー良くわかんないうえに長くてすいません。さらに、姫起きません。会話もないです。ごめんなさい。(苦笑)
だって、この前のチャットで……ねぇ。
……ということで、好きすぎて閉じこめちゃいました。(笑)
(こういうのは好きな方と嫌いな方がいらっしゃるから、怖いなぁ…)
はぁ、でも楽しかった。やっぱり、ブラックカトルでしょう!
千里さんは大丈夫ですよね?ね? 平気だと言ってくれ。でないと私は………。
|