トロワ姫と愉快な仲間たち   《 投稿作品 vol.5 》
 
作品名 : トロワ"ジュリエット"姫と"ロミオ"王子様
   王子様 : 五飛 投稿者 : 海堂 ゆず さん

「五飛"ロミオ"...」
 雲一つない満月の晩。トロワ"ジュリエット"姫は自室のバルコニーから漆黒の闇に浮かぶ黄金の輝きを見つめてため息をついた。
 ため息をつくしかなかった。トロワと五飛は江戸時代の頃から先祖代々いがみ合ってきた張"モンタギュー"家とバートン"キャピュレット"にそれぞれ生まれた。そんな彼...もとい彼女達の恋を認めてくれる者など、どちらの一族の中にもいなかった。
「普通の恋人同士だったら....。」
 トロワは叶わぬ願いに想いを馳せた。
 そう。普通の恋人同士だったら。
 庭のまん中でたき火をして、たった二人きりその周りに座るんだ。何も語る必要はない。そして、時々たき火で温めている鉄のポットのコーヒーを俺が五飛に入れてやるんだ。うまくはないかもしれないが、二人っきりでアウトドアしてるんだし、何より雰囲気がまづいものも美味しくしてくれるだろう。そして、夕飯はメイドが作ったまずそうなシチューを食べる。俺は片時だって五飛のそばを離れたくはないしな。
 現実にはそんなこと、実現するわけがない。誰がこの恋を祝福してくれるというのか。
 それでも想像していることが楽しくて、あれこれと想像を膨らませながら、トロワはバルコニーに立って五飛がくるのを待ち続けていた。
「何を一人でにやにやしているんだ?外から丸見えだぞ。」
 冷めた声に現実へと引き戻されて、トロワは振り返った。
 声は、部屋の中からしたのだ。
 聞き覚えのある、愛おしい声。
「五飛!?どうやって中に入れたんだ?」
「ちゃんと入り口からだ。そんなところに突っ立って、まさか窓から入ってくると思っていたのか?」
 五飛はあきれ顔で両手を腰にあてた。
「だが俺の家の誰が、お前をこの屋敷内に入れてくれるというんだ。」
「多少、入るのに時間はかかったがな。入れてくれないからといって、壁をつたって窓から入るなんて、まるで泥棒ではないか!」
 確かに、トロワが手引きをしているとはいえ、家の者に見つかりでもしたら不法侵入あたりで警察を呼ばれただろう。
 しかし。
「誰も、お前を止めなかったのか?そんなわけないだろう。」
「そういえば、何人か弱い奴らが出てきて俺を止めようとしたな。だが俺はちゃんと入り口から入っているんだし、目的もアポもあるんだから追い出されるいわれはないのでな。切り捨ててやった。」
「切り捨てて、って.....。」
 トロワははっとして慌てて廊下に飛び出した。
 思ったとおり、床は血の海と化しており、家の者がそこかしこに無機的なモノと化して転がっていた。
「五飛....。」
 トロワは天を仰いだが、五飛は平然としていた。
「俺は客人として当然のことをしようとしたのに、こいつらが勝手に襲いかかってきたから返り打ちにしてやっただけだ。悪に正義の鉄槌をくだして何が悪い?」
 もはやトロワには出てくる言葉がなかった。
 その時突然、五飛がトロワの体を両手でひょいと抱え上げた。
「急ごう。新たな追っ手がくるかもしれない。」
「って、どこへ!?...おい、五飛....っ。」
 慌てるトロワの言葉に耳を貸さず、月明かりの下を五飛は屋敷の外に繋いでおいたナタク"馬"に飛び乗って遥か遠くへ向かって駆け出していった。

 二人がどこへ行ったのかって?
 それは皆様の御想像にお・ま・か・せ-_^)
 海の奥底か、はたまたトロワの夢のとおりどこかでたき火をしているかも。
 新宿小田急3Fにある「カフェ・トロワ」かもしれませんね!
 しかし、二人が幸せに一生を終えるであろうことは間違いありません。
 めでたし、めでたし。



■ from 管理人 ■

是非是非、あの二人に新宿小田急3Fにある「カフェ・トロワ」に来て欲しいです〜!(笑) 遠くのほうからでも、二人の姿を見ることが出来れば………!!(笑)

それにしましても、たき火をしながら五飛と二人っきりで過ごすというのは、このトロワの夢なのですね(笑)。二人が普通の恋人同士ならば確かに、ウットリなシチュエーションですよね。言葉は無くとも、あの二人ならば十分でしょうし(*^-^*)。「メイドが作ったまずそうなシチュー」というのには、笑ってしまいました(笑)

そうして、トロワの言葉にも耳を貸さずに、両手でトロワを抱え上げると、ナタクで連れ去ってしまう五飛。とっても格好良いと思います!!(*^-^*) 幸せな一生を終える二人。二人が幸せなのは、私も嬉しいです(^-^)

楽しくて素敵な作品を、どうもありがとうございました。m( _ _ )m

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